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吉原食糧株式会社
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これがさぬきうどんの小麦粉

うどん作りの"極意"ポイント 「水和」とは

この「さぬきうどんの小麦粉」シリーズは、「水」から説明を始めました。

うどん生地は、まず「塩水」と「小麦粉」の出会いから出発します。この最も大事な出発点で何が起きているかを知ることは、うどん作りにとても大事なことなのです。

私は、昔、既に亡くなった讃岐うどん職人の方から、
「手合わせ(水回しとも言う)でうどんの良し悪しは決まる」......
と何度も聞きました。
私は小麦粉の製造・開発に携わり、小麦粉開発とうどん生地についていろいろ試行錯誤するうちに、その意味と理由が理解できたような気が少ししています。小麦粉と水の出会い、そしてうどん生地の変化は、大変奥が深いものです。

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うどん作りは、塩水を小麦粉に加えることから始まります。加水された塩水は、小麦粉の粒子の中に均一に素早く行き渡ることが必要です。

「水和」とは、小麦粉の細かな粒子に水が行き渡り、浸透することを言います。

小麦粉に水を加え、練ると「グルテン」という粘土状の物質ができて、これが麺を形づくることは前回書きましたが、加水し、外力が加わり始めた時からグルテンは形成され始めますから、水の添加が場所によって過不足があれば、グルテン形成が小麦粉のあちこちでバラバラに形成され始めることになってしまいます。つまり、生地に「むら」ができてしまうのです。

ですから、小麦粉全体に水を散らすようなイメージで、小麦粉への沁み込み具合を見ながら連続して加水し終えるということがポイントです。加水の半分を注水して、2〜3分待って残りを入れるというやり方はお薦めできません。

ハイホー小麦ちゃん(麦を手)490.jpg


例えば、小麦粉を大量に練るキサーには、シャワーのように注水する天板が付いているのもあります。

手でミキサー内に加水する時は、できるだけ内壁に沿ってミキサー内部を縁取る(ふちどる)ような感じで、手を移動しながら垂らしていくといいでしょう。ピンミキサー(棒型)の場合は特に、真ん中のシャフト辺りに加水したのでは、ミキサー中央部に水が溜まるばかりで全体に広がりません。(以下の写真)

ピンミキサー280.jpg
  【ピンミキサー】

加水(1)280.jpg
 【内壁に沿ってミキサー内部を縁取る(ふちどる)ような感じで、手を移動しながら垂らしていく】


手打ちでは、手指を使ってすばやく塩水を小麦粉中に散らせるイメージで鉢の中でかき回します。まさに、素早く!!です。手打ち名人は、この時の感触でうどんの出来・不出来が決まる、あるいは食感が予測できると言う熟練者もいいます。
手打ちの場合の、手合わせ(水会わせ)については、こちらから。

ミキサーには、ミキシング羽根の形態や構造によって、何種類かのタイプがあります。タイプの違いによる小麦粉生地への影響は別の機会に譲るとして、上記ピンミキサーは「高速でピンを回して、短時間で水を小麦粉全体に行き渡らせ、浸透させる」という働きから、「水和」の概念に基づいたものと言えます。

例えば、いわゆるニーダー、スーパー・ミキサー等と呼ばれる、ミキサーの羽がフック状でパン・ミキサーのような「練りこみ式」(低速回転)は、水を行き渡らせながら、同時にグルテンを作り出すという働きを持ちます。手延素麺は、この方式です。

後述しますが、グルテンは自分で結合展開する力を持っており、これを活かす方法=(水和+揉み・踏み・鍛え)=ピン・ミキサーを使用する方法か、あるいは加水しながら練って最初からグルテンを作り出すかは、うどんを作る人の考え方・好みによります。


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さて、ほぼ均一になるようなイメージで加水した後、生地の中では何が起きているのでしょうか?
中力の小麦粉の粒度は…..
13μ以下(約4%)
13μ〜35μ(約57%)
35μ以上(約40%)程度です。これらの粒子に水が浸透していくには、多少の時間を要します。

そして小麦粉粒子に加えられた水は、主にグルテンの組織展開に使われるのです。それは一種の科学反応を起こしているといえます。
グルテンが形成された生地内の様子は以下のようになっています。

グルテンとでん粉.jpg

白くネバネバ状に見えるものがグルテンで、球形がでん粉粒子です。
このように、骨格を成すグルテンの間に、でん粉粒が抱きかかえられているようなイメージですね。

茹でると、このでん粉粒が膨潤(膨らむ)し、約5.5倍の柔らかな球形になって、あのなめらかで、もちもちとしたうどんの食感になるのです。

グルテンは不思議なことに、そぼろ状になった生地に軽く力を加えてまとめて、ビニールにくるんでおくだけで、30分もすれば自分たちで自然に結合して「かたまり」になろうとします。自然に結合展開しているのです。
この「自然につながっていこうとする力」を、上手く利用するのが手打ちの極意の一つではないでしょうか。

(写真は製粉協会 書籍より)

掲載日 : 2007年7月29日