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吉原食糧株式会社
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小麦と日本の“食”

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【レポート : どうなる?日本の食糧 (5)】 ~グローバル・マネーと世界経済の構造変化の兆し

いよいよ米国経済の減速、あるいは後退が表面化し始めたこの頃、その兆しが見えた2006~2007年が「世界経済の構造変化が表面化した年」だったのではないでしょうか。
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世界経済が構造変化を起こしているのなら、穀物市場にも構造変化を引き起こすことは当然考えられます。

実際、穀物の相場高騰も「世界経済・米国の経済動向」にやや遅れて起きています。つまり、これらの構造変化は同じ地殻変動の上に乗って起きている現象ではないのか、ということ。
その「世界経済の構造変化」とは....
(1)世界のGDPの約3倍という巨大化したグローバルマネーの潮流の変化。
(2)アメリカ経済の減速の兆候。


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1990年代半ば頃から、世界各国のマネーがアメリカの国債や証券や不動産を買うことによって集中して集まり、アメリカはそのマネーを使ってより大きなリターンのある新興国の企業やインフラ、資源などに投資し高い利潤を得ていました。アジアの近代化に投資することで高いリターンを自国に持ってくる仕組みを、米国は90年代半ばに作りあげたのです。

「強いドルは国益である」という考えに基づく政策をとり、金融の自由化・規制緩和を進めて「米国は一番自由な市場である」ことを示し世界の信頼を得て、IT革命を先導しながらこれらを世界に広めていったのは米国の国家戦略だったのだと思います。米国は、消費で世界経済を引っ張りながら、世界のマネーを集め、再投資し、益を米国に落としという、マネー循環型の仕組みを作り上げていったのです。

実際、「米国の旺盛な消費」⇒「米国の世界への再投資」という形で、2004年より、世界は年率5%という高い経済成長を続けてきました。それを中心的に牽引してきたのは、世界のGDP(2006年で47兆ドル)の20%を占める膨大な米国の消費でした。

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(1)のマネーの潮流が変化してきたというのは、上記のようには米国にマネーが集まらなくなる兆候があるということです。その変化は、中東産油国に流れ込む膨大な額のオイル・マネーと、経済力を急速につけてきた新興国(中国、インド、シンガポール等)のマネーの影響力の拡大です。

2007年1年間で、産油国に入ってきたマネーは50兆円に達するといわれています。日本の国家予算のおよそ80兆円から比べると、その規模がわかります。なにしろ、原油価格はこの5年間で5倍近くに高騰。積み上がったオイルマネーで、産油国は国家戦略に基づいて世界に向けた投資を始めています。いわゆる政府系ファンドです。
オイルマネーによる政府系ファンドは、中東湾岸諸国、ロシアを含めて約200兆円に達していて、投資先は米国だけでなく、ヨーロッパ、アジア、日本などの先端企業に幅を広げ、これまでのマネーの流れを変えつつあるのです。
政府系ファンドは、もはや米国を通さずに自ら近代化の果実を手にしようとしているということでもあると思います。つまり、マネーの主役が中東・アジアへ移り変わっているということです。

世界の政府系ファンドの将来見通しとして、今後10年で運用資産は日本の国家予算のおよそ20倍の1500兆円に達するという見方があります。
単に経済的動機でなく国家の意思が働く投資には、今後国際的な規制・ルール作りが行われるかもしれません。

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さて、(2)アメリカ経済の減速について。
今、盛んに取り沙汰されている「サブプライムローン問題」。2006年夏頃から、米国の住宅価格が下落し始め、住宅ローンのコゲつきが明らかになり大きな問題となっています。
OECDは、33兆円の損失と発表していますが、実際はそれよりかなり大きくて50兆円位ではないかという見方もあるようです。

問題の本質は、銀行が本来バランスシート上に債権として持つものを証券化して売ってしまうということ。ある識者によると「銀行そのものが信用創造を行い、信用がどんどん膨らむ。膨れた資産価値が証券化されていて、実際の住宅ローンのコゲ付き以上に損失が出ていて、あまりに複雑なため、現実にどれ位の損失なのかが掴めないのが本質的な問題。今後は、“信用伸縮”が起きるだろう。つまり、貸し渋り。それもかなり長期に渡ると考えられ、景気後退につながる危険性が高い」とのこと。

米国経済にとって、ドルの信用が低下することは大きなマイナスになることは明白です。
サブプライムローン問題を機に、米国にマネーが集まらなくなってきている兆候があります。
たとえば、去年3ヶ月だけで、サブプライムローン問題が起きてから、英国・EUからの証券投資が年間に換算すると1200億ドルが米国から逃げたことになるという報告があります。

又、全米の消費の大きさの指標となる「米国の売上税収の伸び率」は、まさに住宅価格が下がり始めた時と近く、2006年10-12月期から減り始め、2007年(去年)後半に一挙に落ち込んでいます。
世界経済の成長を牽引してきた米国の消費。これが、減速している現在、今後世界に及ぼす影響は甚大なものになると思われます。

そして、大きな損失を出し、傷ついた米国の銀行に資本を注入して救済したのが、前述の中東やアジアの政府系ファンドでした。全米最大の銀行「シティグループ」にはアラブ首長国連邦のアブダビ投資庁、メリルリンチにはシンガポールの政府系ファンド、モルガンスタンレーには中国の政府系ファンドが資本を注入。
「民主主義」と「自由主義経済」を標榜する米国の金融機関が、アラブや中国の政府系資金に救済されたことは皮肉でもあるし、金融パワーシフトを象徴しているとも言えます。

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世界中に張り巡らされたネットワーク、高性能化したコンピュータ。
より高いリターンを求めて、人類がかつて経験をしたことのないスピードで世界中を駆け巡る膨大なマネー。
そのマネーが株式市場から離れると株価は大きく下がり、穀物市場に向かうと一挙に価格が高騰する現実を見たこの2年。
しかも、世界の金融パワーに大きな変化が起きつつあり、マネーが米国集中から中東・アジアへと移動が始まっているという現実。

需給バランスなど従来の市場原理とは違ったところで、価格形成される穀物市場の誕生。
穀物相場の動きを見るには、その背景にある世界経済の構造変化と、今や世界中の市場に大きな影響力を与えているマネーの動きをみておく必要があると思います。

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本題とは直接の関係はありませんが、この巨大化するマネーが世界を駆け巡り、人類の糧である食糧(例えば穀物)の価格を投機目的で激しく変動させることは、世界で約8億人の飢餓状態の人たちをさらに厳しい状態に追い込むことにもなります。

サブプライムの問題表面化で、欧米・日本・新興国の株式市場からが離れた資金が、穀物や原油で運用するファンドに資金を移して価格を急上昇させていった局面をみると、マネーは、加熱し始めると抑制がきかなくなり、結果的に世界経済や人々の生活をマイナスに追い込んでしまうネガティブな側面も持っていることが見えたこの2年でした。

常に経済は光と影の部分を併せ持っているもので、人間の欲望が暴走しないようにコントロールする「知性」や「合意ルール」を持つことが、地球規模で激しく動くマネーを動かせる道具を持った21世紀の人類には必要なのでしょう。マネーの運用は、ゲームではないのですから。

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さて、米国経済がさらに景気後退となれば、さすがに原油価格は下がる可能性が高いと思います。その時、マネーの動きは?穀物市場への影響は?
需給バランスによって価格が決定する経済原則だけではなく、価格動向にマネーによる影響がきわめて大きくなっている状況下、答えはなかなか見えない……難問です。


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                                                             (R.Yoshihara

掲載日 : 2008年1月13日