今日、平成20年11月21日、「さぬきの夢」推進プロジェクトチーム検討会が県庁でありました。
そのタイトルとおり、香川県産小麦「さぬきの夢2000」の次世代(後継品種)を検討する会です。去年の11月にも試食しましたが、香育20号と香育21号という2つの品種の候補が挙がっています。
この2つの品種は、選びぬかれたものだけあって、それぞれに良い特性を持っています。1年ぶりに2回目の比較しながらの試食だったのですが、今回は両者とオリジナルである”さぬきの夢2000”の3つの品種の食感の差がよくわかりました。以下に私の感想を書いてみます。
1.食感の・食味の比較 (私感)
2つの小麦品種を仮に"A"、"B"とします。
品種<A>は、特徴のある小麦の因子を持っていて、それは”でんぷん糊化特性”によく現れていました。<A>は、でんぷんの糊化特性のうち、ブレークダウン値が<B>よりかなり小さく、もちもち性のやや少ない(アミロペクチン含有量が少ないでんぷん質の)食感であり、それは特に茹後 時間が経ってからの硬めな食感に現れていました。
また、さぬきの夢2000にはない小麦の因子を持っているということで、たんぱく量もやや多く、クルテン質も多いと思われ(品質データは現在公開されていません。)、このたんぱく質とでんぷん質の物性から、弾力の強い食感でした。
おそらく、茹で直後の評価だと、この<A>は、強めな弾力=歯ごたえがあり、評価は高いと思われます。
ただ、食感として単純な弾力の強さだけが前面にでるようだと、繰り返し食べた時にいろいろな評価が出てくるようにも思えます。しかし、なかなかインパクトのある食感でした。
うどんの色調は、かなり黄色味が強いです。
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【注:ブレークダウン値とは】
小麦粉を水で溶いて加熱していくと、50℃位から、小麦粉中のでんぷん粒は膨潤し(膨らみ)始め、大体90℃を超えるとピークに達し(でんぷん粒が最大限に膨らむ)、その後粘度は徐々に低下しますが(でんぷん粒が破裂し始めるため)、そのまま温度を持続させると再び粘度が上昇す特性をもつ小麦粉(中のでんぷんの特性による)があり、この場合のピーク時の最高粘度と、反転して再上昇し始めた粘度の差をブレークダウン値といいます。
このブレークダウン値が大きいほど、低アミロース系、つまり”もちもち性”の強いでんぷん特性を持つと言われています。この物性は、平たく言うと、加熱を続けると、粘性がピークに達した後、でんぷんの粘度は低下するが、温度を持続させるた場合、やがて再度粘りが出てくるという特性です。
低アミロース系のでんぷん質を持つ小麦粉は、この傾向を示すことが多く、うどんの食感として「もちもち感」として現れます。
さぬきの夢2000は、やや低アミロース系小麦です。
私がこの「もちもち性」の特性に注目して、今から12年前の平成8年に小豆島で自主的に植えた小麦は、この低アミロース系の小麦でした。
この辺りの実際の話は、こちらからどうぞ。
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品種<B>は、さぬきの夢2000直系の食感のイメージで、もちもち性が強く、<A>に比べるとや柔らかめな印象。時間が経っても、食感は適度な弾力を維持していました。さぬきの夢2000の従来の食感との整合性を求めると、この<B>になると思われます。
ASWとは違う、独特のもちもち感を持ち、口あたりの柔らかさが印象的です。ぶっかけうどんなど、麺をそのまま食べるような食べ方には最適のように思いました。いわば、バランスの良い食感を感じさせます。
うどんの色調は、<A>に比べるとやや白っぽい。しかし、<A>はかなり黄色味が強い傾向なので、むしろ<B>の色調が普通とみることもできます。
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今後は、さらに1年をかけて、いろいろな物性試験や官能試験、それから製粉会社での挽砕テストを行い、うどん店での本格的な実地試験ということになります。
2.現在のうどん用小麦を取り巻く環境の変化
*国内産小麦について
現在、北海道・九州をはじめ各地域で、国内産小麦の品種改良が急速に進んでいます。たとえば2年後には、登場する北海道の”キタホナミ”という新品種小麦は、収量(単位面積あたりに収穫される小麦の量)とうどんの食感の良さ共に、その前評判は大変に高いものがあります。現在の北海道産小麦「ホクシン」の収量のほぼ2倍近い収量の多さからしても、4年後位には、国内産小麦のうどん市場でかなりのシェアを取ることは明白です。
北海道産小麦は、その系統からみて、うどん用の中力小麦であっても「硬質系」の因子が入っている場合が多く、たんぱく量も多くその分、製麺適性(切れや落麺の少なさや、うどんの作り易さ)には優れています。
<オーストラリア産小麦(ASW)の品質改良の方向性>
日本向けASWの品質改良も、オーストラリアの研究機関において絶えることなく続けられています。
ASWの次世代の方向性としては、うどんの”明るく冴えた色調”にかなり重点をおいて開発を進めています。
つまり、うどん生地を1〜2日おいても、クリーミーな明るい色調が退色しにくい特性です。
あと数年で、序々に日本向けASWがこの特性を持った品種に置き代わることが予想されます。
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3.長期を見通して、短期の目標を定める戦略性をもつ
さぬきの夢2000の次世代品種は、これらの優れた国内産の新品種小麦の登場やASWの更なる改良品種と、競争していくことになります。今後も立ち止まることなく、切磋琢磨しながら、より優れたさぬきうどんに適した香川県産の小麦品種を開発し続けていく必要があるのです。
そのためには、さぬきの夢2000の次の品種選定には、「長期を見通して、短期の目標を定める」という明確な戦略性を持ち、今後のうどんマーケットで小麦特性に何が必要なのか、そして独自性をどのように持たせるかといういくつかの難しい課題を解決していかねばなりません。
いよいよ【次世代小麦】 さぬきの夢2000の次なるもの・・・・へ向かって走り出しました。
掲載日 : 2008年11月21日