(4) 日本の農政の変化〜麦政策の動向
ここで、農政分野に目を向けてみましょう。
WTO、FTA、EPAなど国家間交渉において、日本の国益を確保するためには全産業分野の交渉を並行して進めていく必要があります。農業分野においては農産物の国境措置(輸出入の際に講じられる措置:関税や輸出入の数量制限など)や、農産業への助成システムを見直すことも含めて、日本の農業政策を国際的に認められた手法へ転換していくことが急務となっています。いわゆる「黄あるいは緑の政策」と呼ばれる農業政策への移行です。

今、日本の農業政策は、国による農産品目毎の価格支持や助成ではなく、条件を設けていわゆるプロ農家、法人化を目指す農業経営体に対してのみ、品目横断的な経営安定政策(直接所得補償)を施す新しい農業政策への転換を行おうとしています。
つまり、日本固有の農業政策を国際的に認められているルールに適合するよう変えるということです。
この新しいシステムを導入して、日本の食料自給率の向上、産業としての農業の体質強化、環境の保全を目指そうとしているのです。

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麦政策に関しては、輸入差益を国内農業の経営安定資金の原資とする従来のコストプール方式ではなく、輸入麦から一定の差益(マークアップ)を確保しながら、国際相場を反映して小麦価格が変動していく「価格変動性」が2007年4月から導入されました。
又、国内産小麦については、平成12年から「民間流通」といって、小麦の売買に市場原理が反映されるよう国が関与せず、小麦生産者と実需者(製粉企業)が直接取引をするシステムが開始されています。
今後更に、民間流通システムは、市場経済を導入する方向へ変更していくでしょうし、輸入小麦の売却システムも国家貿易のあり方と共に検討が行われていくことになるでしょう。
東アジアひいてはアジア全体の実態経済の一体化が進む中で、農業・食糧政策における国家の役割とは何か。その「国の機能論」が改革議論のベースになっていくと思われます。

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現在(2007年)、日本の農業政策の大転換と時を同じくして、世界の穀物事情も大きく変化しています。バイオ・エタノール等穀物の非食糧用の用途拡大、穀物生産国の干ばつの進行、アジア諸国の経済発展に伴う穀物需要(小麦輸入量)の拡大。
私は「穀物の概念」が変わったと感じています。そして、時を同じくして日本の食糧政策も大きな方向転換を行いました。いよいよ「角を曲がった」ということです。
この転換は、国民の皆様、消費者の皆様にも今後、かなり大きな影響を与えることになると思います。単なる食品の値上げが当面続くだろうということだけでなく、国が財政負担をし、食品価格を安定化させ保護する時代は終わり、消費者が世界の市場動向に応じて、直接負担する或いは益を得る時代に入ったということです。

【日本へASW(小麦)を輸出するオーストラリア フリーマントル港のターミナル】
このような世界の変化、連動して農政の変化の中で、今後一層 地産地消型も含めた付加価値のある農業経営が地方に求められるでしょうし、その地域で生産される原料を加工した「この地域でなければ作れない」食品の開発・生産・販売がより必要になっていくでしょう。
マーケットがグローバル化すればするほど、ローカルのユニークな製品やサービスはその価値を高めます。
農産物について地方独自の優位性を持ち、自ら存在意義をグローバルな食品市場の中に確立していかなければ、国際化する市場の中に埋没してしまう時代になっているのです。
地域で収穫される農産物に特性を持たせて、地域の食文化情報を加えて魅力のある「製品開発」がとても大事になっています。
香川県産小麦の未来も、まさにこのポイントによって決まると思うのです。

掲載日 : 2007年06月19日